命を守る授業 第1回 大地震

とある小学校で授業をやらせてもらいました。
以下は、2時間の授業をザッとまとめたノート。
(授業のダイジェストが見られる動画 「命を守る授業って?/サバイバルデザイン近年の仕事」)
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【 命を守る授業 第1回 大地震 】 対象:小学3年生程度 2012年9月4日○○小学校


■自己紹介
・私は建築家、こんな建物を設計しています。実例
・人は誰も幸せになるために家(巣)をつくる
・この建物が大地震でも壊れないようにといつも考えてる。
・それだけに、町を見渡せば、壊れる建物が山ほど建ち、人々が何の準備もせずに平然と暮らしてるのが、たまらない。
(阪神大震災の写真

→大地震は野中で遭うなら怖くない、建物が人を殺すのです


■まずは「知る」 学校の教育と実際
・学校の避難訓練 机に潜って、おはしもて(おさない、はしらない、しゃべらない、もどらない、てをあたまに・くちに)
建物を倒壊させる実験の映像…どう? 見境なくすぐ走れ!でしょ
家具がメチャメチャになる実験の映像…建物が頑丈でも家具に殺される、本当に本当に痛いよ、背骨折れる、苦しいよ、脳味噌が飛び出るよ
・町中が火の海になる阪神での映像…挟まれた人達が生きたまま燃やされてるんですよ

→習ったことは、役に立つこともあるが、立たないこともある。
さぁ今から、君たちは自分で決める人になりなさい。自分で自分を守りなさい。
「まずは知って、自分で想像して、自分で決めて、自分が行動する」


■「想像する」どう逃げるかを生徒に想像させ発表させる
・大地震では「大型家具が吹っ飛び」「建物が潰れ」「町中の大火事になる」
・校舎…机の下へ、落下物から離れろ 廊下とトイレのほうが安全。
・家…寝る部屋どうなってる? 今日から出来る…布団の向きを変える、タンスの1段目を半分引き出す
・火災…挟まれて動けなければすぐ物を叩いて音を出し助けてもらえ
・倒壊する建物…2階は壊れない、1階にいるとき瞬時に(12秒)外へ逃げ出す練習を、実際に教室でやってみる(子ども、ギリギリセーフ!パパ役の先生、モタモタしてアウト!)

→子どもが自分で想像したことは、どんなことも正解。自分で考え、心の準備が前もって必要


■「決める」 命の順番
・大人は動かない。誘えば巻き添えを食うから、自分だけで逃げること
・大人はすでに長生きしてる…9歳までの年表、40歳までの年表、大人時代のほうがずっと楽しい。
子ども時代は「しなさい、やったの?、まだ?、大人になったら困る」余計で無駄なことばっか言われてるでしょ? 必ず大人になりなさい。
・君たちは子どもを産み育てるまで死んではいけない、命のリレーを続けるんだ。
・大災害の救急医療現場では、怪我の程度に応じて治療の優先順位を実際につけてる。助からない命は(やむなく)見捨ててる。

→「どんな命もみな大事」はタテマエ。「命には順番がある、子供の命が一番大事」どんな大人も必ずそう望んでる


■想定不足、思考停止、多数派同調バイアス、正常性バイアス、責任回避、
・「てをくちに」?…煙の中を、息なら止めて走れても、目をつぶって走れない、必要なのはハンカチ?ゴーグル?
大人だってこのレベルだよ。人間はどんなに想像しても考え忘れがある、1つの解決で安心してしまう。
「ひとつの問いにはひとつの答え」これは学校教育の弊害。君たちは想像をし続けろ、想像を促す合い言葉は「もし、もしも」だ。
・テグ地下鉄火災…(写真)煙が迫ってる車内なのに誰も逃げない。
「大変なことが起きてる?」を認めたくない、横並びで安心する。人間の脳みそはそういうふうに出来ている。
「まさか」と言ったときが想像が止まってる証拠、目を覚まさせろ。
もし迫ってくるのが火だったら逃げたはず、火は熱いと経験則がある。でも火災では煙で死ぬんだ、煙は火よりも危ないものだと認識せよ。
・大川小学校…校庭へ避難後、先生11人で30分相談、その10分後の津波で子どもほぼ全滅。
大人は大切なことほど自分で決められないビビリ、もたもたする。キミならどうする? まずは「間に合わなくなっちゃうよ」と臆病な大人の尻を叩け
・釜石の小学校…練習通りにてんでバラバラに逃げた子供たち、それに釣られて逃げた大人まで助かった。
人間は、みんなと同じにしたい、ひとりだけ・置いてきぼりだけはイヤ、特に日本人は。その心理をうまく利用した完璧な作戦。

→「危険の大きさは、終わってみるまでわからない」もの。「もしかしたら、すごく危険かもしれない」と最悪パターンを想像しとけ


■「行動する」逃げろ、逃げろ、どこまでも逃げろ
・ひとりで逃げるのはやっぱ恥ずかしい…だから「避難訓練、はじめ」と声に出し言い聞かせる。小地震の毎回が練習。いつか必ず本番、大地震に当たる
・「逃げる」は「負ける」ではない。ムダに「困難に立ち向かう」必要はない。
・野生の動物はそれを分かってる、シマウマはライオンに挑まない。危険は繰り返せばいつかは死ぬ。
いじめ、変質者、暴走車、放射能などなど、「いつもと違うな、ヘンな感じ」と少しでも感じたら予測不可能な危険かもしれない、一旦逃げておきなさい。
・放射能も津波と同じ、「ゆっくり押し寄せて」る。いまはまだ始まったばかり、「危険の大きさは、終わってみるまでわからない」ぞ。
・「逃げる」は「最後の手」ではない。「ジッとガマン」などせず、試しに途中で1回使ってコレが「使えるカード」だと確認しておく。
・いじめは大人の社会にもうんとある、人生、手詰まりにもなる。ポンと逃げると、道が開ける、視野が広がる、人生が豊かになる、人間が大きくなる。

→逃げるってぜんぜん悪いことじゃない、超積極的に生きること。逃げる、そのほんの少しの勇気こそを大切にしなさい。そういう強い人になりなさい


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このあと
授業の最後にテストをやり、その日の宿題はこれ。学校で一旦回収したあと、家の人への手紙
に添えて、先のテストと宿題を保護者へ。
今子供の心にある覚悟と、親の想定していることの隔たりを、明確に感じてもらおうという仕掛けです。

この授業についてのお問い合わせは、sd@sunaga.orgまでご連絡ください。
また、この授業は一般の先生やママさんが子供を集めて開いていただけるよう、
これさえあれば誰でもできる授業のシナリオとビデオなどセットで提供していく計画です。
災害での無念な子どもの死が無くなるよう、日本全国でこんな授業が開かれることを願っています。


その他 ぜひ見ていただきたい映像をひとつ
防災教育から生まれた「釜石の軌跡」/片田敏孝